青のフェルマータ

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  • 更新:2014年6月10日
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青のフェルマータ 著:村山由佳

僕は本を読むのが好きだけど、同じくらいラジオドラマも好き。
特に、夜一人で車を運転しているとき聞くのが良い。
この小説、たぶん音楽があった方が、もっと沢山のことが伝わるんじゃんないかと思う。
だから、ラジオドラマとかにしてくれないかなぁ。
でも、映像にするとコッテコテになりそうで、ちょっと雰囲気を想像できない。
セリストの里緒(リオ)が弾くチェロが聞こえてきそうな、そんな小説。

言葉を無くしてしまった里緒(リオ)。
失った言葉を取り戻すため、オーストラリアにあるイルカ研究所でケアを受ける。
気さくなオージーやイルカ達。
チェロの先生であり、父親のようであり、そして里緒の女である部分で強く惹かれてしまうJBの存在。
綺麗な風景で、楽園のような街に住む人々にも、それぞれがかかえる心の悩みがある。

「翼 - cry for the moon」の真冬もそうだったけど、心に深い傷をもつ女性が、強くしなやかに生きていく瞬間をものすごくうまく書きつづっている。

言葉では伝わらないことって沢山あって、すごくもどかしいけど、それでもなんとか言葉で伝えようとする。
でも、どうしても足りない、もどかしい。 もっと伝えたい・・・。
不完全なコミニュケーションしかもたない人間だからこそ、言葉だけではなく、見つめ合った瞳や、息づかいや、繋いだ手の温もりから、相手を感じたいんだろうね。

もちろん、僕だって手を繋ぐのも、それ以外のところを繋ぐのも大好きですけど

って思った1冊でした。
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