奇跡の人

  • 投稿:
  • 更新:2014年6月10日
  • by
  • in

奇跡の人 著:真保裕一

何度も言うけど、この人の書いた「奪取」は、僕が今まで呼んだ本の中で、日本の作家に限ったら一番おもしろかったと思う。
最初に読んだ真保さんの本は「ホワイトアウト」で、そのときから虜になってハードカバー以外はほとんど読みあさった。
ちなみにホワイトアウトは映画も良かった。もちろん本の方が面白かったけど。
この「奇跡の人」はホワイトアウトと同じ新潮社から出版されてて、何故か見落としていた。
他が、ほとんど講談社からだったからね。

交通事故のため脳に障害を負い、植物人間の1歩手前までいった克己(かつみ)。
一命はとりとめたが一切の記憶を無くし、知性も無くしてしまった。
8年の病院生活を経て、知能レベルはやっと中学生並みに回復し、なんとか本当の自分を探そうとするが、納得のいかない矛盾が自分をとりまく。
以前「リセット」の感想文で、「人間にリセットボタンは無いよ」って書いたけど、克己は22才で一度リセットされてしまったわけだ。

物語の後半、克己の異常なほどの執着心に「?」と思うけど、その執着も31才の大人としてみると違和感があるけど、克己の知性は12才なわけだ。
ラストは、真保さんらしく「う”~」そうきたか・・・
と、うなってしまったけど、今回は題材がすこし暗いから、終始重い雰囲気になってるかな。
もうすこし、笑える部分とかがあると僕的には好きなんだけどね。
でも、ラストはなんか良いな~。

希望の光が差さないとき、ずっと思いを寄せ続けることができるのだろうか?

って思った1冊でした。
読んだ本、読んでない本 Stock List