バイクと彼女と海の話

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  • 更新:2014年6月10日
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地下鉄の階段を上がってきて周りを見渡し出口を間違えたことに気がついた
あちゃー 俺のバイク停めたのこっち口じゃなかった…
また階段を下りるのも億劫だったんでちょっと遠回りになるけど東口方面へテクテク歩いていく
まぁ天気も良い夏の朝だしね

「おっきいーバイクねぇ? ちょっと押しがけしてみていい?」
「今キョーシュウジョで習ってるのよ」

おいおい
イキナリ押しがけって何よ?
イマドキの教習所はそんなことも教えるのか?
というか君は誰?
そしてその挑発的なまでに短いスカートは何?

などと心の中の俺に問いかけてる間に左手に持ってたキーを素早く奪い取った彼女
キーをイグニッションに差し込み右へ回すと左足でギアを2速に入れ替えて左のクラッチを握り
よいしょっとばかりに俺のバイクを押し始める

えー ぱんつ見えそうなんですが
つか 見えてますし
って まてまて そりゃ俺のバイクだぞ
などと心の中でつぶやいている場合じゃない

「ちょっ 何?」
「こらこら そんなヨタヨタじゃ…」

と、案の定クラッチ放したとたんに車体はカックンと止まってしまってバイクの下敷きに
まぁおかげでバイクは無傷だったんだけど

「ちょっといつまで人のパンツ見てんのよ!」
「さっさと助けなさいよ スケベ!」

「あのさー」
「なにをやっているのかな君は? 俺のバイクで」

「押しがけ」

なるほど
って、納得している場合じゃない

「あのね このバイク200キロくらいあんの」
「いくら君のお尻が他のパーツよりおっきいからってその体重じゃ押しがけ無理」
「それにね ほら ここに赤いポッチあるでしょ?」
「これ押すと」

ギュルルルーン! フォーン! フォーン!

「簡単にエンジンかかるのよ」
「きみのキョーシュージョでは習わなかったのかな?」

などと説明している場合でもない気もするが…

「乗っけて! 後ろでいいから」

やれやれ…
なんだか分からんがまぁいいや
短いスカートと気の強い女には昔からめっぽう弱いのだ

「どこまで?」

「中野の方」

「んじゃ俺途中で中華食材買って帰るんでそこ寄ってからだけどいいか?」

「うん」


どっちかってーとタンデムのライディングは好きじゃないんだけど
後ろに乗ってるのが女の子だとお腹に回された右腕だとか
背中にポニョっと2つあたるステキな感触だとか
腰に感じる素足の太ももだとか
えーこれって色々オッケーってことなのか?
なんて色々妄想してたら案の定道を間違えた…

「スケベさん 私を何処に連れて行こうとしているのかな??」

「いや… ちょっと考え事してたら道間違えた」

「どうせスケベなことでしょ?」

「いや ボスニアヘルセゴビナの内戦についてちょっと」

「ふーん すごいね」

えっ そこ信じるとこか?
もしかして気が強い割には素直で良い子なのか??

「って あんたアホじゃない?」
「あそこの内戦って10年以上も前に終わってるよ」

あはは…
短いスカートと気が強くて頭の良い女には昔からめっぽう弱いのだ

信号待ちで停まった時、横の車からラジオの音が聞こえてきた

・・・サーフ情報 ・・方面天気も良くて快晴です
まさに夏の朝って感じで大変きもちいいですねぇ
海はまずまずのスウェルが届いてきててまだ風もなくグッドコンディション
では、今日の3曲目のナンバーは気持ちの良い朝に・・・

「波あるね♪」

「うん あるみたいだね♪」

「え? あんたサーファーなの?」
「え? 君ってサーファー?」

「全然みえないわ スケベーだし」
「全然みえねぇーよ パンツ丸見せだし」

「まてまてサーファーは全員100%スケベーだぞ!」
「スケベーが波乗りしてるって言ってもいいくらいだし」
「スケベーじゃないとサーファーになる資格はないってロペスも言ってた」

「ねぇ こうやって立ち上がるとなんか波に乗ってる感じがしない?」

って、人の話聞いてないし…
それに危ないって

「なぁ 海行く?」
「バイクじゃサーフボードは積めないけど」

「いいよ」
「でも中華食材は?」

「ピータンも干しナマコも逃げないって」
「そんなものは何時だって買えるし手に入る」
「いま大事なのはね」

「なに?」

「いま大事なのは…」
「とりあえずスタンドに寄ってトイレに行くことだな」

ここで猛烈な尿意で目が覚めた…


ってな感じの夢を今朝見ました。