所在不明名簿

高校三年間クラブ活動なんて全くせず、ほぼ毎日バンド仲間とドンチャカひたすら騒音を撒き散らしてた

撒き散らすったって、田舎だし、一番近い民家だって数キロ離れてるから、迷惑に思ってるのは田んぼのカエルかヤゴくらい

そんなんでも卒業後のコンサートは大いに盛り上がってなかなかのもんだったんです

だもんで、打ち上げも、飲めや歌えや踊れやの大騒ぎ
ドラムの奴とうちに帰ってからもしこたま飲んだくれ、翌日はすげぇー二日酔い

当時付き合ってた彼女から朝に電話あって

「今日大阪に行くけぇ」
「もう会えんようになるね…」

俺はってーと、もう頭痛いし吐きそうだしで、おまけに寝呆けてて全く素っ気ない生返事しかできない
電話切った後また寝ちゃって次に起きたら夕方
今と違って携帯なんてもちろん無いし、そもそも連絡先すら教えてもらってなかった…
会えんようになるどころか、もう声だって聞けんし…

そんなに美人ではなかったけど、ひたすら優しくて
弁当作ってきてくれたり、家で料理作ってごちそうしてくれたりと
フラフラいい加減な俺にほんとによくしてくれたと思う
昔からエサで簡単に釣られる(笑)


先日、高校の卒業生名簿の案内が届いた
その中に、所在不明者の一覧があって彼女の名前が載ってた
何となくちょっと切ないね

いくら二日酔いで寝呆けてたって
あの時、もう少し気の利いた優しい言葉くらい言ってもよかったんじゃないかと

もう立派なオバさんになってるだろうけど、ちょっとあってみたいような

あの頃は、「じゃあね!」が「またね!」と同じくらいに思ってたのに、もう何十年も経ってしまった

まぁ、こういうのって男の方は覚えてるけど
女の方は

「そんなんあったん?」
「あんた、ようそんなこと覚えちょるねぇ!」

みたいなもんだろうな(笑)