真夜中のライブ

高校卒業まで、僕は山口県の片田舎で暮らしていた
いつのまにか、田舎で暮らした時間よりも、都会で暮らした時間が長くなった
都会に出てきて星が無いのに気がついたのはどれくらい経ってからかな
明かりが多いし、空気だって澄んでないから、星の数が少ない

星は大好きで、田舎に居るときは飽きもせずに夜空を眺めた
あんまり綺麗なんで、そのころバンドやっていたし
友達に電話して、夜中に学校のグランドで、2台のアコースティックギター持ち出して
星空に向かってライブ
真冬で、糞寒いけど、稟とした空気の中、瞬かない星々が観客
歌い終わるたびに、恐ろしいほどの静寂
二人とも特に何か会話するわけでもなく、ただ歌い、そして星を眺める
シンプルで、まったく飾りのない時間がゆっくりと流れていた

夏は星が瞬く
天の河は、本当に星の河になっている
アンドロメダ星雲は、みようとすると見えなくて、それでもそこに星の群生が有るのがわかる
10分も眺めていると、恐ろしいほどの数の星が流れ消えていく
願い事なら千もかなう きっと

都会でも、金星はよく見える
波乗りの帰り、西の空にひときわ輝く金星を見つけると
なんだか少しほっとする
星の見えない都会の空でも、きっと昔と同じ星達がひっそりと僕達を見守る

「星に願いを」 なんてな

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