いま何処? (最後の贈り物の続編)[fict.]

暑っついなぁ~!
波乗り始めて1年とちょっとか
波乗り始めるんだって言ったらみんな驚いてたな
「え~ 真っ黒になっちゃうよ」
「ブルークラッシュ見たから? 危ないよ」
「今更サーファーガールって感じでもないでしょ」

うん 確かに真っ黒にはなった(笑)

今は7月、初夏の日差しが全てを生き生きと見せる
海も山も、この古びた北千葉の町並みさえ
キラキラ輝いてる
一番好きで、そして一番嫌いな季節

さて、着替えて海入ろう
駐車場でこうして着替えるのも全然抵抗なくなっちゃったし
ちょっとまずいかな

「おはよー」
「相変わらず黒いねぇ」
「ちょっとは上手くなった(笑)」
「あれ? 新しい板買ったの?」

「これ? これもう2年位前に買った板らしいの」

「らしいって 自分で買ったんじゃないの?」

「まぁね(笑)」

それにしても波無い
最初はなんでこんな事が楽しいんだろって思った
でも、不思議
海にきて、波があっても無くても、それはそれでなんだか楽しい
癒されるってのとも違うし、ただ厳しいてのとも違う
すごく自然なままで居られるってのかなぁ
あのバカが、が毎週波乗りに行っていたのが解るような気がするな

思い出すな・・
あの店のドアをあけてから、波乗りが始まったんだよね

 ・
 ・

「すみません」
「あのぉ サーフボード見せてもらえますか?」

「始めて?」

「はい 何度か波乗り見に来たことはあるんですけど」

「ショートとロングどっちがやりたいの?」

「できればショート」

「じゃ これくらいの板がいいかなぁ」
「ちょっと長めだけどね」
「頑張れば、2,3ヶ月で立てるようになるよ」

「そんなにかかるんですかぁ~ 立つだけで?」

「頑張ればね(笑)」

「あれ!」
「この指輪どうしたんですか?」

「あっ それね」
「誰かの落とし物らしくって、預かって居るんだけどね」
「丁度1年位前かなぁ・・」
「可愛いちっちゃな女の子が海で拾ったとかで、お母さんと届けに来たんだよ」

 ・
 ・

最初にこの指輪見たときはビックリしたけど
右の薬指にはめる前から、すぐにわかったよ
きっと私の指にぴったり入るって
太陽と風と波の神様だよね
今は何処で波乗りしていますか?

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