あぁそのヌルヌルが・・・

僕は日比谷線の人形町駅から、客先である外資系の会社へ通勤しているんだけど、その途中に老夫婦がやってる不思議な薬局がある。
そこのくたびれた看板に、何故かその張り紙だけは新しく『円滑ゼリー』なる物を販売するキャッチコピーが手書きの文字で張ってある。
正確に言うと『円満夫婦生活の味方、円滑ゼリー』だ。
前々からものすごく興味があるんだが、どうにも買いに行く勇気がない。
もっとも、朝の早い時間にスーツ姿で
「そこに書いてある『円滑ゼリー』なる物が1つ欲しいのだが」
などと気軽に言える人がそんなに多くはいないとは思う。
がしかしだ、どんな物なんだろうと興味は尽きぬわけで、毎朝色々想像するんだけど、やはり実物をこの目で確かめないことには寝付きも悪いというものだ。
いや 買ったからって、別に何に使うってわけでも無いんだけど(ほっ本当だぞ!)、やはりそこはそれ、探求心旺盛な僕にとって、謎を謎のままにしておくのは、どうにも体に悪い。
そこで、下記のようなシナリオを考えてみた。
あめ玉の1つもやって、適当なガキ(もとい)お子さまを、捕まえてくる。
洟を垂らしているくらいのお子さまがモアベターである。
「俺は、獅子座のM97星雲のα星系からやってきたタイムコップだ」
「今はサラリーマンのおやぢに変身しているのだが」
「この星を守るために銀河警察より派遣され日夜悪と戦っている」
「この地球はいま危機に面している、君の助けが必要だ」
「そうだ、君は今からタイムコップの一員だ」
「君に特別任務を与えよう」
「あの薬局屋の親父は宇宙人で悪いやつなんだ」
「時空をゆがめ、時間を乗っ取る薬を密かに開発しているらしい」
「でも逮捕するには、証拠が必要なんだ」
「そこで、君の任務だが、あそこの看板に書いてある字が読めるか」
「いや えんこつゼリーではない えんかつゼリーだ」
「あれを誰にも見つかることなく買ってきて欲しいのだ」
「さっしのいい君ならもう分かったと思う」
「そう、それが証拠となるのだ」
「いいか、くれぐれも誰にも見つかるな」
「よし、任務遂行だ、地球をまもるために戦え」
「行け! タイムコップ・クウガ」

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