月に繭 地には果実

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  • 更新:2014年6月10日
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月に繭 地には果実  上 著:福井晴敏

この小説は、ガンダムのノベライズ版。
遙か昔、人類がおこした戦争のため、人が住めなくなってしまった地球。
最後の望みをかけて、人類が唯一地球に施した善行は、ナノマシンによる地球の再生。
暗黒の歴史を経て、過去の科学力を無くし、西暦が正歴となり、更に2千数百年の歳月が過ぎ、わずかに生き残った人々も緩やかな再生の時間を刻む。
同じく戦禍の末、住む場所を追われ、月の人類ムーンレイスとなった人々は、科学力を駆使し、未来に種子を繋ぐべく、人類の大半を冷凍冬眠させ、いつしか地球へ戻れることを願う。
地球の民、月の民、生活環境も考え方も違うけど、もとは同じ人類。
2つの本流が相まみえるとき、また過去の醜悪な歴史を繰り返してしまうのか・・・

ガンダムのビームソード(だっけ?)を剣の長さ分に電子を放電させるには、直径4Km位の鉄の輪っかが必要だそうだ。
ビームソードで斬りつけるより、4Kmの鉄の輪で殴りつけた方がダメージは大きいとか。
そういった科学的矛盾はさしおいても、この物語は現在の戦争とか民族間の争いとか、某大国の傲慢とかを強烈に諷刺してるんじゃないかなぁ。
色んな大義名分とかを、後にでも、先でも、言葉巧みにくっつけたって、所詮は個人の感情やエゴや損得に左右され、まずいタイミングである臨界点に達したときに、渦中にない無駄な血が流され命が失われていく。
過去も、現在も、未来も、力による争いからは何も生まれないぞ。

僕は、初代ガンダム以降のガンダムを知らない。
この作品の元(どっちが元?)となったTV版のターンAガンダムも見たことがないけど、この物語の端を発してるのは、紛れもない、アムロや赤い水星のシャーが出てきた初代ガンダム。

「ぶったね!」
「父さんにだってぶたれたことないのに」

何故かここだけ憶えてる(笑)

たしか、東京に2度目に出てきたとき、先輩の家に居候してて、240円ののりべんを2つ買って、やることもないし金もないから、映画版のガンダム3作を連続で観たことを思い出した。
このターンAガンダムもちょっと映像で見てみたい。

って思った1冊でした。
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