パラレルワールド

  • 投稿:
  • 更新:2014年6月10日
  • by
  • in

似たような街の、でも全然知らない街で、まったく同じ登場人物が、少しだけ違った人間関係でそれぞれの人生を生きている。

その街で、僕はいつも行く店の片隅で一人酒を飲み、後ろの席にいた大きなアフリカ系アメリカ人と、その連れの顔の黒い女子高生を観察している。
そのうちに、どっちがアフリカ系アメリカ人だか区別がつかなくなってくる。

頼んだはずの焼酎のロックは何故か緑茶割りで、友人が近づいてきて、それは不味いからこっちを呑みなよと勧めてくれる。
もちろん、そんなことは知っているが、いつの間に友人が頭を5分刈りにしたかは知らなかった。
そして、確かにこの緑茶割りはとても不味い。
バイトの子は入ったばっかりでオーダーをいつも間違ってるそうだ。
それも知っている。

友人にハワイに行って波乗りした話を聞かせ、サーフテックは軽すぎて面が荒れているとダメだとか力説する。
そう、たしかに2日目までは波も小さかったけど、3日目に頭半の波で使ったサーフテックは軽すぎたのだ。
ハワイは、どこまでも青い海で、白い砂が広がっていていて建物が全くない。
人類が一度滅びてしまい、千年かけて再生した楽園のようなところだ。

千屋に飯を食いに行くので一緒に行かないかと友人に誘われたけど、どうにも面倒くさくて適当な嘘をついて店を出る。
地下鉄の改札を抜け、トイレに行ってこなかったことを少し後悔する。
西武新宿の駅まで我慢できるだろうか…

ってとこで、目が覚めた。

昨日も波乗りして、サーフトリップの疲れがも溜まってて、あちこち身体も痛いしで、今日は30分起きて2時間昼寝を繰り返している。
のどが渇いたから、冷蔵庫の野菜ジュースを飲もうとしたけどコップがない。
しょうがないから、茶碗に血のように真っ赤な野菜ジュースを注いで飲む。

ん~ 頭重い…
と、こめかみに指を当て、ゆっくりと目を開いたら、いつもの部屋の天井を見上げていた。
そしてトイレに行きたかったことに気が付いて、今度こそ夢を見ていたことにも気が付いた。

もう一度目が覚めたら、大きなアヒルの置物とか、しっぽの長い変な怪獣のぬいぐるみとかが目にはいればいいのにと思ったけど、とりあえず現実問題としてトイレに行ってこなきゃだ。