ウォーターマン

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  • 更新:2014年6月10日
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ウォーターマン 著:松久 淳

ハワイを背景にし、色々な波乗りを題材にした物語。
読み始めて、これは短編集かなと思ったんだけど、最初の短編は、最終章の「千の波」に向けた序章となっている。
物語は最後に収束していき、ちょっとファンタジーっぽくて、なかなかホロっとさせてくれるし、とても良い本だと思う。

「彼らは過去を悔やんだり、未来のために余力を残したりなんてことを考えてないんだ」
「今を懸命に生きることで命をつないでいる」

これは、短編の中の「シャッター・アンド・ライド」からの引用で、海洋生物のイルカやクジラをさして言っている。
そう。何事も全力がいいに決まってる。
そもそも残す余力なんて無いのだから、次に持ち越したところで、今が中途半端になるし、余力が使える次が必ずあるとも限らないのだ。

そして

「待つ、そして逆らわず」

これは、物語の中のレジェンドサーファーが言った言葉。
サーファーなら、この意味はとても心に響くと思う。
日が照り温度差で風がおこる。
風によるさざ波がいくつも折り重なり波となる。
そして、月による潮の満ち引きにより波は増幅される。
波は長く旅をして岸に到達する。
長い時間をかけて作られたリーフ、あるい移動して体積した砂によって奇跡的なブレイクを作る。
何一つ人間が介入する部分は無いのだ。
サーファーは、ひたすら待って、奇跡の波を逆らわずに受け入れるだけ。
そう、人生も然りだ。
果報は寝て待て(…ちょっと違うかも…)

ん~

どんな波でも、もっと丁寧に、きちんと最後まで乗らなきゃだな…

って思った1冊でした。
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